ヅカ初心者の雑記

宝塚歌劇団にハマりかけの干物女による雑記

【感想】『婆娑羅の玄孫』(2021・星組・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)

のきやでです!『婆娑羅の玄孫』7/14 12時公演を観劇しました。twitterのFFの極美慎さんファンの方が誘ってくれて、もうめちゃくちゃに感謝しかないです……(;;) この回はライブ配信の日だったようで、カメラも入っていました。上手側のほうに何人かスターさんが座っているのが見えましたが、どなたかは全く分からずでした。
前回の観劇がライブ配信を除くと6/8と、1か月以上スターさんを生で拝めなくて禁断症状が出ていたのでとっても楽しめました。
いつもの如くネタバレを普通にしているので、これから観劇される方で気にされる方は閲覧非推奨です。

公演概要

絢爛たる江戸文化が花開いた頃。本所の長屋に、人々から「婆娑羅の玄孫」と呼ばれ慕われる細石蔵之介という男が暮らしていた。室町幕府設立の立役者でありながら文化芸能に通じ婆娑羅大名と呼ばれた佐々木道誉の子孫で、近江蒲生郡安土を治める佐々木家当主の次男として生まれた蔵之介であったが、母の身分が低い為家名を名乗ることも許されずにいたのだ。しかし非凡な才を持ち、近隣の子供に学問や剣術さらには歌道や茶道を教えるよろず指南所を営む蔵之介は、さすが道誉の血を引く者として長屋の人々の自慢の存在となっていた。正義感に溢れ、将軍家の権威を後ろ盾に横暴な振る舞いをする旗本に一矢報いる等、とかく評判の人気者であったが、父に捨てられたとの想いから時折寂寞感を漂わせてもいた。そんな蔵之介のもとに、佐々木家が取り潰しになるという噂が届く…。

感想

今回うっかり公演パンフレットを買い忘れたのと、いつにもまして記憶力に自信がないので嘘を書いていたらすみません……。
まず上記のあらすじ、結構公演内容と違いませんでした……!??

『人々から「婆娑羅の玄孫」と呼ばれ慕われる』とありますが、長屋の人たちはイシ先生が武家の生まれであることを知りませんでしたよね? 『母の身分が低い為家名を名乗ることも許されずにいた』の部分に関しては、廃嫡されたことが物語に絡むので隠しておきたかったと考えることもできるかもしれませんが。 『佐々木家が取り潰しになるという噂が届く』に関しても、噂というかストレートに「長兄が死んだので帰ってこい」という指令で、取り潰し云々はそれとまた別の話だったような覚えがあります。
まああらすじと違ったからと言って困ることはないので(?)(あとシンプルに公演概要をよく読んでなかったので)観劇中は何も考えずに楽しめました!

私は星組初観劇・轟さん初観劇で、江戸を舞台にしたお芝居も初めて見たので、初めてづくしで目が色々なところにいきました。シアター・ドラマシティは久しぶりに入りましたが、思い入れのある劇場なのでちょっと懐かしく感じます。後列でも前の人の頭がまったく被らず、舞台全景がよく見える席でした。

まず幕が上がると傘を被った細石蔵之介がひとり舞台上に佇み、「轟くわが心」を歌います。そのあと奇襲を仕掛けてきた旗本奴を相手に華麗な立ち回りを見せて場面転換。江戸っぽいモチーフが色々書かれた薄幕がシャーッと出てきて、その前で極美さん演じる権六が江戸っ子口調たっぷりに語りと歌で魅せてくれます。

星組のスターさんは全然知らないものの、極美さんはFFさんの贔屓であること・先々月くらい?のGRAPHにソロで載っていたことから、「顔がべらぼうに小さくて足がべらぼうに長い人」くらいは知っていました(適当な女) が、実際に見てみると、そのビジュアルの良さに負けないくらい演技が堂に入っていて、長い台詞も颯爽と気風よく、歌も台詞のように滑らかに(それでいて流れてしまわない上手さで)歌われていて、ものすごいスターさんだ……!と驚きました。
GRAPHで見たときは現代アイドルっぽい印象を受けたのに、舞台上では町人から信頼される朗らかな瓦版売りでした。

この瓦版売りの場面ではなめくじ長屋の町人たちがぞろぞろと瓦版を買いに来るのですが、とりわけ気になったのがヒロイン的ポジション・お鈴を演じる音波みのりさん。全く知らない娘役さんなのに、そのしぐさ・可愛さ・そして何より耳にすっと入ってくる透き通った声がとっても好みで、ずっと釘付けになってしまいました。お鈴は気前よく気持ちのいい性格の江戸っ子で、その喋り方も「あんた」「あたし」「~~だよっ」というカラリとしたもの。音波さんの綺麗な声がよくよく通って、台詞の一言一言が耳に心地よかったです。
連れて行ってくれた極美さんファンの方に「音波さんは91期なんだよ~」と教えてもらって、えっベテランの娘役さんなんだ!と意外に感じたり納得もあったり。お鈴は気が強いけどイヤな感じのしない落ち着きもあって、その細やかな演じ分けには目を見張りました。
イシ先生の家のタンスをひっくり返して着物を探す場面とか、轟さんとの掛け合いもひたすらにかわいくて……!!

それから、汝鳥伶さん演じる彦左とイシ先生との掛け合いはコミカルかつ心温まるものでした。町人には情深く頼られるイシ先生も、彦左の前では「若」らしく拗ねたり冗談を言ったり、ちょっと甘えた様子も見せるのがかわいらしいです。
普通に考えると、理由も教えられぬまま廃嫡され、さらに都合よく戻ってくるよう頼むというのは関係にヒビが入りそうだし、傍から見ていても心に響きづらい人物になってしまいそうなものですが、彦左のキャラづくり・言動はどこか憎めないところがあって、だからこそイシ先生と彦左はうまくやっていけているのだろうな、と感じられました。これも専科の方の演技力でしょうか。

アホなので、お面をつけてお祭りで舞っている場面で「男役のほう異様に上手いんだけど何……??」と思ったら轟さんでした(それはそう)。日舞とかに全く詳しくないんですが、ああも年数の積み重ねの差が出るものかととても驚きました。流れるように動くのに、止まる時はぶれずにピタっと、そしてまた体の余計な部分が一切揺れずにするりと踊りだすので魔法かなにか……?
観劇した回ではお面がなかなか横にくっつかず、踊りつつ頑張ってくっつけようとしているのが拝めました。

「師いはく」から始まる「論語のごごご~♪」(←歌詞を聞き取れていないのでちがうかも。おもちゃのチャチャチャを思い出した)みたいな歌も印象的でした。この場面だけで、子供たちはイシ先生の下で「学ぶこと」を心から楽しく感じているんだと伝わってきます。ひろ香さん演じるお父さんは教育の大切さを分かっていないけれど、大人の思惑を抜きにしても子供は成長するものなのだと感じる一場面でした。

小桜ほのかさんと稀星かずとさんの演じる中国人姉弟もかわいらしく、長屋の子供たちに囲まれてわちゃわちゃしている場面など微笑ましくなります。イシ先生の「あんぽんたんチャーシュー麺~」みたいなやつもかわいい(語彙がないのでかわいいしか言えない人)。
親の仇を取りたいと言いますが、果たして本当に五貫屋嘉兵衛が仇本人なのか?なかなか確証を得られないという点を強調するので、ここからひと悶着ありつつ最終的には丸く収まるのかな~と思ったら……
え?一幕終わりで敵討ち完了!!幕!!休憩でーす!!(完)
思わず一緒にいた子に「二幕何するの……!?」と聞いてしまいました。あと五貫屋嘉兵衛が平戸屋善兵衛だという証拠が嘉兵衛の蔵にある(←??)、見せていたもの(板と紙)も何なのかよく分からず、結局何だったんだ……となり。あと奉行所に届け出たぞ!ってメンチ切ってるけど、奉行所に届け出たらそちらで沙汰をつけるのが筋になってしまうのでは??(江戸時代なんもわからん)と思いました。

二幕は一幕と直接的な話のつながりはなく、イシ先生の実家である佐々木家の長兄が亡くなり、急遽お家へ呼び戻されて跡を継ぐことになる……という流れでした。
七夕の夜、お鈴と一緒に星を眺める場面は幻想的でとても美しかったです。廃嫡された理由もわからず、ただ彦左と父を恨み、それでもなめくじ長屋で楽しく過ごしてきた日々を思い返すようなイシ先生の、台詞の一つ一つが感情に溢れています。お鈴の「ほかの名前の人はいやだよ」も、本当に綺麗な響きで……。お鈴が聡明な女性だとその言葉だけで伝わってきます。一幕がしっかりお芝居の色を出しているとすれば、二幕は宝塚歌劇団を去っていく轟悠というスターのための舞台でした。
二幕でもイシ先生と彦左の会話は面白いです。切腹するしないの押し問答も狸親父と若様……ってな趣で最高です。

あと驚いたのが、轟さんは場面場面のベストな瞬間ですうっと涙を流す達人……!!オペラグラス越しですが、本当に泣いてる!と気づきました。轟さんに限らず、タカラジェンヌはみんな綺麗に涙をこぼすので自分と同じ人間とは全く思えないです。

そのほかいろいろ

3年前にシアタードラマシティである舞台(宝塚ではないです)を観たとき、とても面白いと感じたのに客席は半分近く空席で、なんとなく寂しい気持ちになったことがあります。『婆娑羅の玄孫』は平日公演だったにもかかわらず満席で、あらためて、轟さんと宝塚歌劇が多くのファンに愛されているのだなと感じて勝手にうれしくなりました。

これを書いてる17日は『シャーロック・ホームズ』を観劇したのですが、これも色々面白かったのでまた感想をメモしていきたいです。久々の更新のわりに雑な感想記事なので、また思い出したことがあったら追記していきます!(ところで、買いそびれた公演プログラムをキャトルレーヴで買おうとしたら「売り切れです!」と言われて大ショック……)