ヅカ初心者の雑記

宝塚歌劇団にハマりかけの干物女による雑記

『MY HERO』(2017・花組)感想(スカステ)

先日スカステで放送されていた『MY HERO』を見ました。わたしはド新参者なので芹香斗亜さん・鳳月杏さん・音くり寿さん・朝月希和さんという並びを見ながら「こんな時代の花組があったんだ……」と驚いていました(メインキャストがほとんど組替えしてるな~と)。

公演概要

舞台は20世紀末のロサンゼルス。伝説的な特撮ドラマのヒーロー「MASK☆J」のスーツアクターとして活躍した父の背中を見て芸能界を志したノアは、下積み生活を経てトップ俳優の座に上り詰める。しかしいつしか己を見失っていったノアは、放蕩生活の末にスキャンダルをおこし、事務所を解雇されてしまうのだった。そんな彼がようやく手にした仕事は、顔出し禁止のスーツアクターとして、かつて父が務めた「MASK☆J」を演じるというものであった……。
HEROが教えてくれる“勇気”“諦めない心”、そして“愛”をテーマに、過去の栄光にしがみつき前に進めずにいた若者が、ハンデを乗り越え懸命に生きる女性との交流を経て、人生に再チャレンジする姿を描き出します。
https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2017/myhero/index.htmlより引用

感想

の前にちょっと特撮の話

私自身は特撮オタクではありませんが特撮自体は好きで、幼稚園~大学生の今になってもちょくちょく作品に触れています。初恋は杉浦太陽演じるウルトラマンコスモスでした(聞いてない)。

特撮をテーマにしたかったのであれば、ちょっと色々混ざりすぎかな?と思います。というのも、MASK・Jは多少仮面ライダーっぽい見た目、シルバー5は明らかにスーパー戦隊、お話のノリの軽さやすっ飛んだ感じ、何より悪役の存在の分かりやすさはウルトラマン寄り。間で挟まれるナレーションもライダーっぽさがありますね。しかし、公演ポスターの画像や舞台的にアメコミ(マーベル?)を意識しているのも確かです。
アメコミは詳しくないのでさておき、どれか一つに「ぽさ」を絞った方が「特撮」自体の良さが伝わったのにな……と考えました。でもそもそも特撮って顔が見えないし、宝塚との相性は良くなさそうに思えるので、それを「宝塚の舞台」の脚本に落とし込んだ齋藤先生のチャレンジャー精神は面白くて大好きです。特撮が好きすぎて色々詰め込んでしまったというのもありそうです。
こういう変わり種っぽい作品をリアタイ観劇してみたいので、また何かやってほしいです……!!

キャラクター

まず、ノアの「嫌な奴加減」がちょうどよかったです!笑
コミカル仕立てのハートフル作品で許容できる「ダメな主人公」の閾値って難しいなと感じるんですが、ノアは嫌な奴だけどクズすぎる描かれ方をしているわけではないんですよね。ライバル会社の女優とのスキャンダルも、女優を一方的に弄んだわけではなくお互い遊びの関係ですし。現実の俳優のスキャンダルって大抵もっとエグいので、このくらいでリアル過ぎないほうがいいです……。
物語が進むにつれて彼の生い立ちも明かされていきますが、親の再婚が子供のメンタル形成に大きく影響を与えるということは容易に想像できるので、ノアに感情移入もできました。幼少期ノアと父親の交流を見ると、愛されて育ってきたからこそ他人に自然と手を差し伸べられる優しさがあるのも納得ができます。

続いてクロエ。見るからにアッパラパーな容姿と快活な性格、これも「アホだけどウザすぎない」女の子で最後には好きになりました!(演じる朝月さんのうまさも多分にありそう)
彼女が誰ともくっつかないのは惜しいです!でもノアとくっつくのもテリーとくっつくのも違うし難しい……。彼女の過去は台詞(とちょっと歌)で示されるのみですが、ノアと出会ってからようやく人生が上手く行き始めた、という感じがまさにいいコンビでした。ノアとクロエの関係は主役の男役と二番手級男役みたいな、恋愛ともちがう「ベストな二人」だと感じました。

それからテリー。ノアのスーツアクターとして事務所に所属し、彼の父親ハルを心から尊敬している、妹思いの男性というキャラクター。ノアが事務所をクビになったことから新たなスターとして脚光を浴び、MASK・Jを演じることになるも持病が悪化して……という流れですね。
病気について出てきたあたりで先の展開が少し読めちゃいましたが()、おおむね好青年でありつつも、スーツアクターという職をこき下ろし不誠実な生活を送るノアにはキツめな態度を取っているのは人間くささがありました。ノアとは仲良しではないものの思ったことをそのまま言い合える関係で、それが2幕の入院~クロエ・マイラ救出でいいほうに作用したのかなと。

最後にマイラ。とってもいい子だけどMASK・Jに向き合えないノアには辛辣で、彼と分かりあってからもちょっぴりツンデレの見え隠れしているのが可愛らしかったです!老人ホームでの他キャラクターとのわちゃわちゃは見ていて楽しくなります。正ヒロインですがなんせクロエのアクが強すぎるので1幕では押されてる感が否めず、2幕ではしっかりヒロインをしていました。
最後に流れるEDっぽいモノクロ映像で、マイラがノアのもとへいくと映像に色がつく演出はめちゃくちゃ好きでした……!

全体的に見ると女性キャラクターの造形が非常にツボで、全員個性的なのがたまらなかったです。遊園地のお姉さんの、タバコを地面に落としてハイヒールでグリグリっと踏んで火を消すしぐさとか、普段絶対娘役がやらない(と思う)ので見ていると特殊な栄養素が摂取できて笑顔になれます(???)

スターさんについて

先述していますがド新規なので芹香さんの花組時代の映像を全然見たことがなく、また今のところ花>雪>月を勉強しているので宙組にも全く触れておらず、未知のお方という感じでした。
今回とにかく思ったのがスタイルがいい!!顔の小ささと手足の長さのバランスが良くて、どういう姿勢でいても不格好にならないのがすごいです。あと笑い方が独特というか、歯を見せて笑っても全く下品にならない美しすぎる口元の持ち主ですよね……!?
音くりちゃん演じるマイラへの接し方が自然めなツンデレっぽい演技でとても萌えました。
くわえて、今回朝月さん(クロエ)・音くりちゃん(マイラ)・芽吹さん(メイベル)という、3人の女性とデュエットソングを歌う役でしたが、どの娘役さんとのハーモニーもとてもきれいに聞こえました。

鳳月さんは安定の上手さで、見ながら「トンチキな舞台やな……(ド失礼)」と言っていた母もちなつさんのことは安心して見ていました(?)今の『桜嵐記』を見た時もこんな旦那ほしいが??ってなりましたが、『MY HERO』でも「このお兄ちゃんくれ~~!!!!」って叫びたくなります。
フィナーレで歌っていたのは地下アイドルの曲らしいですが、そうとは感じられないほどうまく歌っていてびっくりしました。
今回はヒールのないスニーカー(うろ覚え)を履いていたので、芹香さんとは結構身長差があるように感じました。

音くりちゃん・朝月さんともに歌の上手い娘役さんなのに、フィナーレで無理にアニメ声で歌わせる必要はなかったんじゃないかなと思います……。娘役さんの歌唱力ってこういうテンポの速いJ-POPとは相性が悪い印象です。

まとめ

こりのさんとかりりかさんとか、普段娘役然とした美しい方々がはっちゃけた女性を演じているのはかなり新鮮で良かったです。あの美しさで婚期は逃さんやろとなりました。
私は「ハマる前に想像していたものとは全く違う宝塚歌劇」を見るのがめっちゃ好きみたいで(?)この『MY HERO』もかなり好みでした。これからもどんどん新しい一面を知っていけたらいいなという気持ち……。